訪問の様子

新しい取り組み
「オンラインドッグセラピー」

新型コロナウイルスの感染拡大により、週に1回実施していた訪問が中止になってしまいました。

「コロナ禍でもできることを!」と病院スタッフと話し合いを重ね、2020年12月からオンラインでの交流を通して子どもたちを元気づける取り組み「オンラインドックセラピー」を開始しました。

試行錯誤の日々ですが、また笑顔で会える日まで、今できることに取り組んでいます!

これまでの訪問活動

【2016年12月~】2か月に1回の訪問活動
2016年12月22日のクリスマス会から、定期的な訪問活動がスタートしました。2か月に一度わんちゃんに会える「わんわんの日」に訪問し、子どもたちやお母さん、そして、病院スタッフにも少しずつ覚えていただけるようになっていきました。

  1. 左:病院のマスコット「モコニャン」と記念撮影。クリスマスおめかしもばっちりです。
  2. 右:病院内ですれ違う人にびっくりされないように、「お仕事中」のユニフォームを着て廊下を歩きます!

【2018年5月~】1か月に2回の訪問活動
セラピードッグが待機しているお部屋に子どもたちに遊びに来てもらう「滞在型」や、病棟のプレイルームでみんなでふれあいをする「病棟型」など、子どもたちの要望に合わせた訪問の形を、病院スタッフと一緒に作っていきました。
2018年6月には、外来の処置室への訪問が実現。処置の間セラピードッグとふれあいをしたことで、子どもの気をそらすことができた、と看護士さんやお母さんが喜んでおられました。
2019年2月には、病院内でも特に衛生面の管理が厳しいNICU(新生児集中治療室)とICU(集中治療室)へ初めてセラピードッグが入室しました。医師や看護師さんの理解と、スタッフの皆さんとの協力体制により実現。子どもたちやお母さん、看護師さんたちにも大変喜ばれました。

  

  1. 左:治療のタイミングや体調により、セラピードッグとのふれあいの許可が下りなかった場合は、窓越しにごあいさつすることも。
  2. 右:入室許可が下りた集中治療室へ。ドアの向こうでは子どもたちがセラピードッグを待っています!

【2019年5月~】1週間に1回の訪問活動
週に1回の訪問が実現し、病院と共に掲げた「子どもたちのそばに毎日セラピードッグがいる病院」という目標にまた大きく1歩近づきました。訪問回数が増えるにつれて、セラピードッグの名前や性格を覚えてくれる子や、お気に入りのセラピードッグと仲良くなってくれる子も増え、子どもたちやお母さんとの距離が近くなっていきました。

  1. 上:毎回参加してくれていたお友達から、退院の際に嬉しいお手紙をもらいました!
  2. 左:滞在中には、休憩の時間に先生方や看護師さんたちがセラピードッグの待機スペースに遊びに来てくださいます。
  3. 右:お楽しみのひとつ「おめかし」は、子どもたちはもちろん、お母さんや病院スタッフにも大人気です!

【2020年3月~】新型コロナウイルス感染拡大により訪問が中止に…
病院ではすべてのイベントの中止や、ご家族の面会規制などにより、子どもたちも強いストレスを感じているそうです。セラピードッグとの交流を楽しみにしている子どもたちのために、会えない間にも、動画を作って送ったり、写真入りのカレンダーやぬりえを送ったり。子どもたちに「また会いに行くよ」のメッセージを込めたプレゼントを届けました。
6月からはオンラインセラピードッグの準備を本格的に開始。度重なる感染拡大により、時間がかかりましたが、着々と準備を進めました。

  1. 左:セラピードッグたちの自己紹介動画を作成し、病室のベッドにいる子どもたちが好きな時に見られるようにプレゼント。
  2. 右:セラピードッグの名前と得意技が書いてある「サイコロ」は、楽しいゲームに使います!

【2020年12月~】「オンラインドッグセラピー」を開始
会いに行けない日々が続く中、オンラインでの交流を通して子どもたちを元気づける取り組みがスタートしました。
「実際にふれあってこそドッグセラピーなのでは?」という懸念がありましたが、病院内で過ごす子どもたちにとって「動くものを見る」「画面の向こうから自分の名前を呼ばれる」ということがとても大きくうれしい刺激となるのだそうです。病院環境にいる子どもたちの発達に不足しがちな刺激を促進する「発達支援」の観点からも「オンラインドッグセラピー」には充分な効果があることがわかりました。

  1. 左:画面越しに「こんにちは!」とごあいさつ。画面の中では、子どもたちの笑顔が見えたり、手を振り返してくれたりします。
  2. 右:普段はなかなか見られない!?トリミング中の様子も生中継しちゃいます!

「子ども病院にわんちゃんがやってきて…」

「母子センターにもわんちゃん、きてくれへんかな」

1人の病院スタッフの言葉をきっかけに、2016年の春、私達QOLサポートチームと日本レスキュー協会の皆様、そして、ワンちゃん達との交流が始まりました。

大阪母子医療センターは、和泉市にあるお母さんと子どものための病院です。1000g未満で生まれた小さな赤ちゃんや、生まれた時から重い病気があったり、小児がんや腎臓病・心臓病、神経系の病気などを発症したりした子どもたちが、懸命に病気と向き合っています。QOLサポートチームは、入院中の子ども達のQOL(生活の質)の向上のために、病院内のいろいろな職種が一緒になって取り組んでいます。病気の子ども達を元気づけ、入院中にも楽しい体験をしてもらうことで、闘病意欲を高め、病気や治療を乗り越えることができるようにサポートしています。

ドッグセラピーは全国の子ども病院ではすでに取り入れているところもあり、その効果は学会や研究会でも報告されています。私達も、すぐに導入!!と思ってはみたものの、病院という特殊性もあり、様々な壁がありました。「病院内に犬?感染は??ほえないの、噛まないの???」職員から質問が飛んできました。そのために、数か月かけて準備をしました。日本レスキュー協会の方々や獣医師の先生にご協力をいただき、職員向けに感染対策やセラピードッグに関する講演会を開き、ワンちゃんたちと交流してもらいました。子どもやご家族にはリーフレットなどを用いて理解していただき、子ども達には「わんちゃんとのお付き合いのお約束」を徹底しました。

そして、多くの方々のご協力のおかげで、一昨年のクリスマスと昨年の2月に、子ども達とワンちゃんとの出会いが実現しました。出会いの中には、予想以上のたくさんの「笑顔」がありました。辛い治療や入院生活で、笑うことを忘れていた子どもの目元、口元がほころんでいました。子ども達の笑顔をみて、ご家族が、そして、子どもとご家族の笑顔をみて、病院のスタッフが温かい気持ちになっていきました。

病院にきてくれたのは、にこりちゃん、みおん(海音)ちゃん、みわ(皆輪)ちゃんです。3頭で、そのお名前どおりのことを実現してくれました。「笑顔(にこり)が、音色が伝わるように(海音)皆の中に広がって、“笑顔のリング”(皆輪)」ができていたのです。

私達は、子ども達とご家族のこころを元気にするこの活動を、レスキュー協会の方々と一緒にもっともっと、充実させていきたいと考えています。

(QOLサポートチーム・心理士 山本悦代)

このページの先頭へ