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ドッグセラピーの効果について


『痴呆性老人に対するドッグセラピーの試み』
七山病院共同研究チーム

(第4回日本レスキュー協会ドッグフォーラムでの発表より)
 

作業療法士 大湾由美氏
七山病院は、1995年に創設された大阪府熊取町にある精神科の病院。
現在、精神科の病棟に痴呆の専門病棟を加えて、より一層地域に根ざした医療を目指している。


平成13年6月から3ヶ月間実施されたドッグセラピーにおいて、最も変化の見られた2人の患者さんのうち、1例を具体的なエピソードを交えてお話したいと思います。

Aさんは80才の男性です。ドッグセラピー参加以前は、他の患者さんにお関心を示すことはありませんでした。しかし、こちらからの働きかけに対しては反応がみられ、犬好きであるということからドッグセラピーへの参加を促しました。目的は、活動性の向上と興味の拡大としました。

ドッグセラピーを開始してしばらくすると、セラピードッグについての意見や感想などを言うようになり、時折自分から手を挙げて活動に参加するようになりました。その後、病棟からドッグセラピーの場所への移動時、歩行のおぼつかない患者さんの手をとってあげたり、プログラム中に他の人に活動を譲るといった行為もみられるようになりました。また、この頃から病棟でもスタッフとの会話が増え、活動に関心をしめして近づいてくるなどの変化も見られるようになりました。

このような変化の考察として、まず、話すことやコミュニケーションの増加については、ドッグセラピストや病棟スタッフt話をする機会が増えたこと、また、自発的な言動につながったことが関係していると思います。更に他者に気を配るなど、役割を意識した行動が出現したという変化については、他者との距離が物理的にも心理的にも近づきやすい小グループで実施されたことから、自分以外の人に意識が向くようになったと考えます。

これまでに得られたドッグセラピーの効果はいろいろありますが、それらは「犬」であるセラピードッグと、セラピストや私を含む病棟スタッフなど患者に関る「人間」と、その患者さんが生活を送る病棟などの「環境」といったことが関係して得られる効果であると考えます。また、毎回のドッグセラピー前後にミーティングを重ね、患者個々の治療目的を挙げ、それに基づいて活動内容や対応方法を決定し、実行するのはドッグセラピーに関る人間の大きな役割であると考えます。最後に、今回得られた効果には痴呆という患者の進行を予防する大きな意味があると思います。

今後も日本レスキュー協会、そして病棟スタッフ一同協力して、患者さんによいドッグセラピーが提供できるよう努力していきたいと思います。