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痴呆性高齢者のケアをドックセラピーでより豊かに
聖マリアンナ医科大学 理事長
高齢者痴呆介護研究研修東京センター センター長
長谷川 和夫氏



長谷川 和夫氏
痴呆とは、自分の体験や、起きた出来事の全体を忘れてしまう症状です。普通の物忘れは、例えば昼に食べたおかずを思い出せないといった程度ですが、痴呆症のお年寄りは昼食をとったこと自体を忘れてしまいます。これは脳の疾患によるものです。現在、アルツハイマー型痴呆症の治療法として新薬「アリセプト」がありますが、進行を遅らせることはできても止めることはできません。そこで重要になってくるのが「ケア」という側面です。痴呆性高齢者の対応では「治療」と「ケア」の両面を充実させることが大切なのです。患者さんに明るく楽しい生活を送って頂くことで、今の状態をよりよく保つ。そのためのサポートが「ケア」です。セラピードッグには「ケア」の部分で大きな役割を果たしてくれることを期待しています。犬はお年寄りの心に素直に入り込むことができます。痴呆症は記憶や認知に障害が生じますが、情緒面は失われていません。セラピードックにえさをあげたり、散歩などの世話をすることで、やさしい気持ち、愛情、慈しみなどの感情が蘇れば、毎日の生活はより楽しく豊かになっていきます。また、グループ全体でセラピードックを可愛がることにより、人間関係が活発になることも考えられます。楽しい感情を刺激して、心全体をよい状態にしてあげることは、患者さんの生活の質を高めるうえでとても重要です。そうした「ケア」の分野において、今後、ドックセラピーを積極的に取り入れていくことが期待されます。