災害救助犬のブーツについて

8月20日発災の広島土砂災害にて出動した多くの災害救助犬について、様々なメディアで「災害救助犬にも足を保護するブーツを履かせてほしい」との声が上がり、当方にも多くのコメントや質問を頂きました。

この件について、日本レスキュー協会の見解をお知らせ致します。

 日本レスキュー協会では、出動時には災害救助犬用のブーツを常に携行し、災害現場の状況によってハンドラーやチームでブーツを履かせるか否か判断いたします。今回もそれぞれのハンドラーが携行していました。
 現場ではまずはハンドラーが現場状況を見て危険箇所・危険物の把握、それらの除去を救助隊に依頼することもあります。余りにも危険物が多く存在する場合には、災害救助犬の投入自体を制限します。行方不明者を捜索することは大きな使命ですが、まずは自分たちの事が優先されるからです。
 また犬は、足の裏(パッド)で多くの情報を収集していると言われています。その情報源を遮断してしまうと思わぬ事故を招くこともありブーツの使用に関しては十分に注意をしています。今回の現場では、ぬかるんだ倒木や瓦礫が点在していたため、犬が滑ることも考慮して履かせていません。
 決して災害救助犬の足元について無関心でブーツを履かせていない訳ではございませんのご理解頂ければ幸いです。

 それとともに国際的な災害救助犬基準の観点からご意見も頂きました。国際的には義務化しているのでは無いかとのご質問でした。
このことについて調べた範囲では、国連の捜索救助諮問機関に評価機関として入る幾つかの災害救助犬団体でも義務化せず、ハンドラーの判断で履くか否かを判断しているようです。

靴・ブーツが義務化されない理由として
・ 履かせることがストレスになる
・ 長時間の使用で体温を上昇させてしまう
・ 怪我のリスクを高める
・ 爪による踏ん張りが効かなくなる

 私たち含め日本国内の団体と見解は似ていますし、それを参考にもしています。

しかし国際基準云々はそうにしろ、皆様からご意見がある通り、これは人間側の勝手な判断だとも言えますので、ご理解いただけない部分もあろうかと思いますので、一つの情報としてお受け取り頂ければ幸いです。

 様々なご意見ありがとうございました。今回のご意見等を活かしながら、これからも災害で活躍してくれる犬たちの身の安全を最大限に確保しながら活動を継続していきます。

 

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